疲労感を抱えて教室棟に戻ると、辺りは休み時間独特のざわめきに満ちていた。
これなら目立たず自席につくことができる。馴染んだ自分の机、体格に合わせて高さを調整した椅子。そこへするりと収まり、ようやくホッと一息つけた。
エルガー先輩の七不思議検証、ハルイ先輩とティキュ先輩の強引勧誘、ティキュ先輩の自薦モデル事件……、登校してから数時間しか経ってないのにずいぶんいろんな出来事があったなぁ。
ていうかそれ全員高等部の先輩だよ。中等部とは教室区画が違うのに。
「アリア、どしたの? さっきの授業いなかったよね。また具合悪くなっちゃった?」
「あ、ううん。ちょっと嵐に巻き込まれたというか、人災的な何かというか」
首をかしげるクラスメイトに説明しようと言葉を探るけれど、出てこない。だめだー、気力がもうすっかり底をついてる。
代わりに胸中に降り積もるのは、初めて授業をサボった後ろめたさ。
ごまかし笑いを浮かべながら、あたしはなんとも言えない気分を噛みしめたのだった。
END
「高等部って変わった人が多いのかなぁ?」