6周年記念

中央棟・132会議室にて (8)


──18.自分の事で、他人に言うと驚かれる事は何かありますか?

セレシアス「俺は特にないと思う」

エルガー「見たまんま、印象そのまんまの奴だもんな」

セレシアス「うっ……すまん」

アリア「謝ることないよセレス君。ほら、自分じゃ気づいてないこともあるのかもしれないし」

セレシアス「……ありがとう。アリアは何かあるか?」

アリア「あたしね、自分で焼き菓子が作れるんだよ。リンゴの焼き菓子とか」

セレシアス「ええっ!?」

エルガー「マジか?」

アリア「マジですよ〜。びっくりした?」

セレシアス「夢路御殿で深窓の令嬢の生活をしてるわけだろう? 当然のように料理だの菓子作りだのは全くしたことがないもんだとばっかり……」

アリア「美味しかったから、自分で作ってみたいなって思って。厨房の皆に教えてもらったの」

エルガー「へえ。よくそんな我がままが通ったな」

アリア「ごくたまーにしか言わないもん」

エルガー「オレは、そうだなー……こう見えても子守が得意だ!」

アリア「ええ? 嘘だ〜」

エルガー「全否定かよ。嘘じゃねェって」

セレシアス「エルガーと子ども……。これっぽっちも想像つかないんだが」

エルガー「そりゃオレが子守してんのを見たことがないからだろ。いいか、子どもと遊ぶときはだな、大人目線じゃダメなんだ。奴らと同レベルになって思いっきりじゃれる。これがコツだな」

アリア「分かるような、分からないような」

セレシアス「というか、独身で身内も都内にはいないだろう? 一体どんな経緯で子守をするんだ?」

エルガー「子守の副業は割高なんだぜ」

セレシアス「……服務規程違反は大概にしといたほうが……」


──19.あなたのイメージを、動物・音楽・言葉・物、何でも構いませんので例えてもらって下さい。

アリア「エルガーって、動物に例えるなら黒豹っぽいよね」

セレシアス「ああ、そんな感じがするな。次の動作の予測がつかないところとか」

エルガー「犬系か猫系かで言えば、確かにオレは猫系だろうな。逆にアンタは犬系だろ」

セレシアス「犬……。そうかな」

アリア「あー、分かる分かる。おっきくて真っ白くて、もふもふの犬だよね。大人しくって、全然吠えないの〜」

エルガー「ははっ。言えてらァ。だとするとアリアは……」

セレシアス「……鳥、とか、どうだろうか。逆風に向かって飛ぶ、鳥」

エルガー「ずいぶんとまた詩的な」

セレシアス「そっ、そうか?」

アリア「どうしよ、なんかちょっと照れくさいよぅ」


──20.個人の人生として、今後やろうとしている事、あるいは実行中の事は何かありますか?

アリア「今ようやく頑張り始めたところだよ」

セレシアス「俺も、かな」

エルガー「どうぞ本編をご照覧あれ──ってか」


──21.生まれ変われるとしたら何に生まれ変わりたいですか? それとも興味ありませんか?

セレシアス「急に言われてもな」

アリア「なんだろ? 生まれ変わるってことは、あたしのあたしとしての意識はもう全然残ってないってことでしょう? だったら、生まれ変わったその命を全うするしかないわけだから、何に転生しようがかまわないと思うなぁ」

エルガー「ほう、一理あるな」

セレシアス「俺は……強いて言うなら、巡るもの、かな」

エルガー「と言うと?」

セレシアス「例えば樹木。地下水を吸い上げ、葉を茂らせ、大気を清める。木材に加工され、使われて、やがては土に還り、他の植物の養分となり、苗床となる……。そういうものがいいなと思うんだ」

アリア「素敵だね。生命の環、だね」