異端者たちの夜想曲
悠二&将座談会
悠二「なあショウ。お前さんのコードネームって“アニス”だったよな」
将「そうだよ。つってもオレら普段あんまり使ってないなー」
悠二「で、俺は“エリカ”。雪ちゃんは“エーデルワイス”……ってことは花の名前シリーズなのか?」
将「あー、そうなんじゃねーの? アニスとかエリカってのはオレは知らねーけど。サルビアだって花の名前だろ。それがどうかしたのか?」
悠二「いや、ふと気になって」
将「でも言われてみれば、コードネームってどういうふうに決められるんだろうな。やっぱりヒイラギが選ぶのか?」
悠二「新入りのデータを見ながら、『花の名前事典』とか片手に?」
将「想像つかねー!」
悠二「ってかヒイラギの顔を知らないけどな。確かにイメージとかけ離れてるなァ」
将「でも地下組織の首領が花好きだったら微笑ましいな。なんとなく」
悠二「なあ、俺らのコードネームの花言葉、知りたくないか?」
将「え。知ってんのか?」
悠二「ネット検索すればすぐに出てくるって。えーと、まずはお前さんのアニスから……あった。『活力』だとよ」
将「……オレ、≪桜花≫に拾われたとき、半分死にかけてたんだけど」
悠二「じゃあこのコードネームはきっとヒイラギの願望だな」
将「エリカってのはどんな花言葉なんだよ?」
悠二「いまググるから待ってろよ。──お? 『孤独』ときたか」
将「アンタって寂しい奴なのか?」
悠二「そりゃお互い様だろうが。ふうん、孤独……ね。でもまあ、俺には相応しい名前かもな」
将「なあ、そしたらエーデルワイスやサルビアってのは?」
悠二「お前さんがこんな雑学的なものに興味を示すなんて珍しいな。どれ」
将「『高貴』に『燃ゆる想い』」
悠二「ほほう。これはまた」
将「花言葉を知ってて選んでるとしか思えねーな、こりゃ」
悠二「コードネームを決めた奴、十中八九はヒイラギだろうけど、かなりのロマンチストに違いないぞ」
将「一体どんな奴なんだよ、ヒイラギって。乙女?」
悠二「だから知らないって」
END