6周年記念
中央棟・132会議室にて (3)
──04.生まれた所と現住所を教えて下さい。どんな所なのかでも良いです。
アリア「あたしが生まれたのはリィザ内……のはず。現住所は公都の行政庁区画、《クリスタロス》本部の敷地内、東端にある『夢路御殿』。限られた人しか出入りできない秘邸なんだけどね、外苑には薔薇園とか星見台があるんだよ」
セレシアス「《クリスタロス》の象徴・夢見姫の住まう御殿といえば、一般所員がおいそれと近づける場所じゃない。というのが通常の認識だな」
アリア「むう。つまんないよね、ホント」
エルガー「オレの出身はさっきも言ったように大公国西部にある旧都アレンティー。現住所は《クリスタロス》本部の敷地内にある寮だな」
セレシアス「俺は……生まれた場所がどこなのか、よく分からないんだ。国内なのは確かだが。現住所はエルガーと同じく」
エルガー「おっと、同じだからって別に同室で暮らしてるわけじゃないからな。個人部屋の寮だからなっ」
アリア「なに念押してるの?」
エルガー「ちなみに寮暮らしは快適だぞ。起きて三分で出勤できる」
アリア「あ、それはいいね〜。朝に弱い人は助かるね」
エルガー「飲み屋の立ち並ぶ城下の繁華街まで、けっこう遠いってのが唯一の難点だけどなァ。酔っ払って寮までたどり着けず、行政庁区画の石畳の上で何度朝日を拝んだことか」
アリア「わー。最悪な大人だ」
セレシアス「よく風邪ひかないな……」
──05.学歴・職歴などがあれば教えて下さい。公的なもので無くて良いです。
エルガー「オレは義務教育のあと、すぐ公軍に入って、二年ばっかり軍人働きしたかな? そっからレヴィスの旦那にスカウトされて現在に至る、ってわけだ。セレシアス、アンタも似たようなもんだろ?」
セレシアス「いや、まあ……その、俺は学校自体ろくに通ってなくて……。実はな、十二歳の頃に行き倒れ寸前のところをレヴィス課長に保護されて、それからそのまま《クリスタロス》にいるんだ」
アリア「行き倒れ──って」
エルガー「ほほう。レヴィスの旦那の人材収集癖はそんな昔からだったんだなァ」
セレシアス「エルガーも課長に見込まれたクチだろう? あとティキュさんとか、事務員のレーゼさんなんかも」
アリア「面白い人がいっぱいいるんだね、三課って」
セレシアス「出身地や経歴も皆ばらばらだな。十人十色というか、賑やかだよ」
エルガー「んで、学校通ってないのはアンタもだよな?」
アリア「うん。専任の教師が何人かいてね、勉強を見てくれてるんだよ〜。『夢見姫』としての務めがあるとき以外はそうやって学習したり、星を見たり、書架庫で本を探してきて読んだり」
エルガー「普通なら十七歳まで学校で義務教育だから、同級生とバカやったり上級生とケンカしたり下級生に入れ知恵したり、教師に罠を仕掛けたりとか、色々とおもしれェことがあるのにな。可哀相に」
セレシアス「普通ってそんなものなのか?」
アリア「エルガーの学生生活ってどんなだったんだろう……」