6周年記念

中央棟・132会議室にて (4)


──06.趣味・特技はなんですか? 資格・免許などもあればどうぞ。

アリア「エルガーの趣味は飲酒です」

セレシアス「反論できないな」

エルガー「オレを侮るなよ。酒は趣味じゃない、親友だ! むしろ心に友と書いて心友ッ! 人生における心の友なんだよッ!」

アリア「以上、アル中の主張でした〜」

エルガー「誰がアル中だ!?」

セレシアス「まあまあ……。特技は念動力と短剣投げ?」

エルガー「まあな。あとティキュいわく『開かずの引き出しを量産すること』だそうだ」

アリア「開かず?」

セレシアス「ごちゃごちゃと雑多に物を詰め込みすぎて、下手に開けると地獄を見るような引き出しのことだよ」

エルガー「したり顔で解説すんな」

アリア「それは……ティキュさんに百%全開で嫌味を言われてるんだね」

エルガー「やかましい。分かってるけど言われるとムカつくんだよなァ。アンタはどーなんだアンタは」

アリア「あたし? 趣味は読書、水泳と乗馬、夜空観察。特技は先見だね〜。未来を夢に垣間見ること。ちっとも自分の思いどおりにはならない力だけど」

セレシアス「乗馬ができるのか」

アリア「そーだよ。ときどきだけど郊外のとある牧場で練習してるんだよ」

エルガー「アンタの身分なら一生馬車で事足りるだろうに、酔狂なことだな」

アリア「御殿から外に出たいのが半分、馬が好きっていうのが半分、かな。温厚な生き物だけど、賢くって騎手の意を汲んでくれるし。馬術の訓練してると、いっつも時間の経つのを忘れちゃうんだよね〜」

エルガー「じゃじゃ馬……」

アリア「あー、それ言うと思った。んもう! ……じゃあ次はセレス君の番だよ」

セレシアス「趣味は特にない、なぁ。特技は、やっぱり霊術ということになるのかな」

エルガー「あの忌々しい特殊能力な!」

アリア「負けたからって根に持ってる?」

エルガー「るせ」


──07.外見的特徴を教えて下さい。顔立ち・体つき・服装など。

エルガー「黒髪黒目。体型的には普通だろ。標準よりちっと筋肉質ってくらいで。ああ、ふてぶてしい顔つきだってよく言われるけど」

アリア「それは顔つきに限ったことじゃないよねえ」

エルガー「はっはっはっ。反論できねェな」

セレシアス「……アリアは怖いもの知らずだな……」

エルガー「なんか言ったか?」

セレシアス「いや……」

アリア「セレス君は綺麗な銀髪と桜色の瞳をしてるよね。すらっと背が高くて、少し耳が尖ってるの」

セレシアス「……アルビノは、混血の子に多いそうでね。髪や目の色もそうだが、耳も目立つから、ついフードつきの外套とかばかり選んでしまって」

アリア「そんなに気にすることないよ〜。エルガーもそう思うでしょ?」

エルガー「まあなァ。色々あんだろうけどよ、いい歳した野郎がおどおど背中丸めてんのはどうかと思うぜ」

セレシアス「う……。そう、だな……」

エルガー「そうそう。いかにも貴族っぽい外見なのに、全然頓着しやがらねえコイツの度胸を見習ったほうがいいくらいじゃねーの?」

アリア「む。どういう意味?」

エルガー「金髪に青い目ってのは貴族によくある特徴だろ? しかもこの、野良仕事なんて縁遠そうな色白肌と手指。要所要所はどう見ても良いトコのお嬢さんだってのに、素顔を晒しっぱなしで天下の往来を歩いてたんだからな。あれじゃ物騒な界隈で物盗りに遭っても文句は言えねーぞ」

アリア「うう。そ、それもそうか〜」

エルガー「今頃気づくなってェの。ったく。ハーラルじゃ、そんな娘っ子がアルビノ野郎と一緒にのんびり歩いてたんだからな。嫌でも目立つだろ普通」

セレシアス「それは確かにそうだろうけど……度胸がどうこうという問題ではないような……」