6周年記念
中央棟・132会議室にて (1)
控えめなノックの後、セレシアスが入室。
セレシアス「誰もいない……。場所は確かにここだよな。何やら座談会に出席するよう言われたんだけど」
首を傾げて室内を見回す。会場の名前をもう一度確認しようとドアを開けたところで、外側から今まさにそのドアを開けようとしていた人物と鉢合わせ。
アリア「ひあっ!? ……って、あーセレス君だ!」
セレシアス「す、すまない。大丈夫か?」
アリア「平気だよ〜。ここに来てるってことは、もしかしてセレス君も座談会に?」
セレシアス「ああ。詳細はさっぱり不明なんだが、とりあえずお達しのとおり来てみたんだ。アリアもそうなのか?」
アリア「そう〜。夢路御殿のあたしの部屋の出窓にね、いきなり投げ文があって」
セレシアス「投げ文!?」
アリア「『座談会に出席されたし。於・中央棟132会議室』っていう文が、重りに括りつけられてたんだよ。一体誰が投げてよこしたんだろう」
セレシアス「それはまた風変わりな趣向だなあ……」
アリア「すごく変だよね。この会議室にたどり着くまで全然誰とも会わなかったし。出席者ってあたしたちだけなのかなぁ?」
セレシアス「うーん。どうだろうか。事前情報がほとんどないから」
エルガー「お嬢さん方、待たせちまったな──……あれ?」
扉が勢いよく開かれてエルガー入室。中にいたアリアとセレシアスを凝視し、しばし硬直。
エルガー「ぬあああああ!! だーまーさーれーたァあああッ! 謎めいた黒髪娘と王室系の有翼娘、美少女二人と仲良く三人で座談会だって聞いてたのに! 期待してたのに! どーしてくれるんだコンチクショウ!」
アリア「……この人も座談会の面子みたいだよ、セレス君」
セレシアス「しょっぱなから激しく嫌な空気……」
エルガー「ティキュの奴、ニセ情報つかませやがって。訴えてやる。絶対酒おごらせ倒してやるぞっ!」
アリア「まあ、とりあえず席につこうよ」
セレシアス「そうだな。どうやら参加者は三人で全員のようだし」
アリア「ん? 机の上に何か資料があるね」
セレシアス「ふむ。この質問に沿って俺たちが話をする、という段取りみたいだ」
エルガー「質問だァ? むしろオレのほうが訊きたいぜ。せっかくの【作品超え座談会】なのに、なんだってこうも見知ったツラばっか拝まなくちゃなんねーのか、責任者を小一時間ほど問い詰めたいっての!」
セレシアス「作品超え? そうだったのか」
エルガー「ああ、そうらしいぜ。なんでも面子については公に要望を募ったとかいう話だ」
アリア「なるほど〜。なら、そんなふうに文句言うのはよくないよ。たまたま結果的にこうなっただけなんでしょ?」
エルガー「ちっ、言われなくても分かってらあ」
セレシアス「いつまでもこうしていても仕方ないな。座談会、やるならやるで始めようか」
アリア「はーい」
エルガー「しゃーねェな。しばらく付き合ってやるよ」