というわけで、遅刻常習犯に対するペナルティとして生徒会の仕事を手伝うことになりました。
放課後に校内をまわって異常がないか点検しつつ、無為に居残っている生徒たちに帰宅を促すという、いわばパトロールのような仕事だ。他者を注意する側になることによって自分の気を引き締めさせる、そんな意図が込められているのだろう。
生徒会の関係者が巡回するとき身につける腕章を手渡されて、あたしは思わず背筋を伸ばした。
「では行きましょうか。最初は私たちと一緒にまわっていただきます」
「は、はいっ」
月城先輩の左右には、副会長の桐生先輩と林原先輩が控えている。うわぁ、と声を上げそうになった。この二人のことも間近で見るのは初めてだった。
桐生先輩は長身でちょっと甘い顔立ちをしていて、気さくな雰囲気のせいか高等部の女子生徒にものすごく人気だって聞いたことがある。一方、林原先輩のほうはというと、思い切りの良い豪快な人で、いかにも裏表のなさそうなタイプのようだ。黙っていても存在感がある。
そんな男子二人が凛とした花のような月城先輩に付き添っている姿は、なんとも絵になる光景だった。
すごく素敵です。写真撮りたいくらい!
たとえば月城会長が唯一無二の女王だとしたら、桐生先輩と林原先輩は女王に忠誠を誓った騎士。馴れ合わず、一種の緊張感を保ちながらも、言葉にしない信頼で結ばれていて……。
ああ、いいなあ。絵になるなあ。どうしよう、ペナルティを受けてるっていうのにテンションあがってきたよ!
脳内の妄想を口に出さないように気をつけながら、あたしは三人のあとについて歩き出した。
さて、どこから見回るのかな。
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